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ダニエル・クロウズ「ザ・デス・レイ」発売

 ダニエル・クロウズの邦訳の最新本、ザ・デス・レイが発売されました。中綴じ(背表紙なし)のソフトカバー、というか、カバーもなし。いわゆる従来のぺらぺらのコミックブックの、紙がしっかりしてるバージョンです。頼りないといえば頼りないフォーマットなのに(その分、安いよ)、なぜこの形で出版されたかというと、この作品が発表されたオリジナルのフォーマットに合わせているからです。形だけでなく、紙から色調から、可能な限りどこまでも元のコミックブックを再現している。なんてことは商品情報に書かれてないし、そもそもコミックブックなので、部数が限定されてるうえ、日本ではごく一部の人しか手に入れてないはずなので、どうしてもネタバレ?したくなり・・。


 まず表紙。オリジナルは2004年発行の、ダン・クロウズのコミックブック・シリーズ、Eightballの#23なので、このときにはDeath Rayというタイトルはついてない。このタイトルができたのは、2011年にDrawn & Quarterlyからハードカバーで復活したとき。下の写真が表紙だけど、こちらはちょっとダサい・・。 ちなみに、ダンは#23以降、このフォーマットで作品を発表していない。オルタナにおいて、コミックブックが少なくなっているあたりは、以前に書いた記事を。

左:オリジナル 右:邦訳


2011年の復刻版


中身は、写真のようにグリッド状だったり、2ページブチ抜きのイラストだったり、2色刷りだったりフルカラーだったりと、いろんなスタイルを使ってストーリーが進む。このページは、文字がうまいこと入ってるなあ。


 オリジナルの裏表紙には、バークレーの住所がまだ書かれている(現在はオークランド)。邦訳本のクレジットは、もちろんダンによるレタリング。値段の後ろの吹き出しに書かれてる文章は、オリジナルも全文見えないけれど、ちゃんと訳してある。

 見事な完コピ(賛辞!)であり、オマージュになっているのが分かるでしょうか。デス・レイは、特に色が好きだったので、ここが再現されているのが嬉しい。

 内容は、プレスポップの商品情報や、キングジョーさんによる解説をぜひ。オルタナの雄、ダン・クロウズがスーパーヒーローを描いたらどうなるか?という、ファンにとってちょっとどきどきするネタだったけれど、かなり現実的な展開。元々内気な少年が、タバコを吸うことによってスーパーパワーを手に入れる。唯一の親友と、周りにいる、非常識でムカつく人間をデスレイで消していく。最初のころはパトロールのつもりで、街に出ては知らない人間もターゲットにするけれど、決して世間に知られるまでの派手な行動はしない。デスレイは手放して、元々の人間嫌いの傾向を助長しながら中年男になる。もし本当にデスレイがあったら、現実的にこうなるだろうな、という意味で、全くドラマチックじゃない。ダンの作品の語り手はほぼすべて厭世的で人間嫌いだ。彼らのような、一般的に好ましい人物ではない人が、淡々と本音を独白するというスタイルで、かつ、最終的に人間として成長するわけでもないのに面白く読めるのは、小説や映画では実現しにくいと思う。ポップなコミックだから、むき出しの黒い本音が中和されるという意味で、漫画にしかできないことかもしれない。

 邦訳を読んで気づいたのは、ああ、だからこの手の作品はグラフィック・ノベルと呼ばれるんだな、ということ。英語で読むと「ノベル」を意識しなかったけど、日本語だと、「ノベル」感が強い。これはあらたな発見だったな。

オリジナルを手に入れた2004年当時はグラスゴーに住んでいて、オルタナのコミックブックが買える店がなく、ストックホルムに旅行で行ったときに買った。一応コミック店を調べてはいたけど、ぶらぶら歩ける範囲に3つもコミック店があったストックホルムは良い街です。
comments(2)  -  

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COMMENTS

Posted by at 2013/11/09 4:54 AM
あらタイムリーな話題。
昨日、デス・レイを読み終わったところです。

まいこちゃん、お久しぶりです。お元気でしょうか。
私は相変わらずダラダラと暮らしています。。。

数年前に半分ワークビザ目的でカレッジに通い出したのですが、ちょうど今とっている一般教養の科目がComics to Graphic novelsというやつです。
教本としてPersepolis, Pride of Baghdad, the watch men, そしてthe Death Rayを取り扱っています。
もうすぐプレゼンテーションとエッセイの課題があるので、 デス・レイとゴースト・ワールドを取り上げようかな〜と思ったら、まいこちゃんを思い出しました。
かなり共通点があると思うので、書きやすいかなと。ずっと一緒に行動してた友人が変化していき、取り残される主人公。。。という終わり方も一緒だし。
久しぶりに映画も見直してみようかな。

デス・レイは一番最後のページ、アンディがたった1人で街を歩いてるシーンがあって、これって最後の選択肢をCと思わせておいて実はAだったのだろうか?と思わせてくれてモヤモヤするところが良いと思います。
Posted by まいこ at 2013/11/17 12:15 PM
鯖ちゃん

久しぶりだねー。トロントでお世話になったのは2年以上前か。つい最近のような・・。
デス・レイの最後は、結末なんてどうでもいいし、という感じが出てて良いw。しかしデス・レイがあれば・・って、自分の妄想が漫画になったみたいだわー。これ、映画化の話があるらしいけど、お蔵入りになるかもしれんとか・・。

カナダといえば、平日に聞いてるNPR系のラジオ番組で、ジオン・ゴメシって人がホストしてる「Q」というのがあって、トロント発なので、カナダの話題多いんだよね。カルチャー系で、ライブとかもよくやってるよ。そっち時間だと、夕方のはず。ヒマだったら聞いてみてー。





 
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