もう遠い過去のことのようだけど、シカゴのことを少しずつ。シカゴとNYは、断片的に思い出した時に書こうかなと思います。
シカゴに行ったら会いたいな、と思っていた人がいる。前の職場だった店のお客さんで、2度くらいしか会ったことはない女性。シカゴに留学していて、帰国していたときに来店し、修理でシカゴに発送したりしてやりとりが続いたのでよく覚えていたのだ。こっそり連絡先を控えていたなんて、昨今の個人情報保護の観点からいうとけしからんのだけど、思い切ってメールしてみたところ、快く会う約束をしてくれた。まあ自分でもよくやるな、と思わないでもないけど、気が合って、2日も遊んでくれた。シカゴで暮らす日本人、にも興味があったので、同世代なのもあり、いろいろ話を聞けてとっても楽しかった。
彼女はカレッジに通っていて、Oak Parkにあるホームステイ先に住んでいた。Oak Parkはシカゴのダウンタウンからだと1時間かかるかかからないか、くらいのちょっと郊外にある落ち着いた(犯罪の少ない)街。子供のいる、ある程度裕福な家庭が好んで住むようなところ。フランク・ロイド・ライトの家があるので、ちょっとした観光地でもあり、地球の歩き方にも地図が載っている。彼女に会う前日に、フランク・ロイド・ライトの見学ツアーに参加したばかりで、周囲を散歩していたら、周りにある家も豪邸ばかり。なんと彼女のホームステイ先の家は、その豪邸のうちの1つだというので驚いた。家が大きすぎて部屋が余っているのだろう。
ちなみに、彼女がホストマザーに、私に会うことと私の滞在先について伝えたところ、「そこは最近殺人事件があったじゃないの!お願いだから遅くなってもそこには泊まっちゃだめよ」、と騒がれたらしい。危険だ、危険じゃないの話しは人によって感覚が違うものだけど、オークパークのような、あまりシカゴっぽくない安住の地に住んでいる人からすると、友人宅のあるエリアはとんでもないところだったんだろうなぁ。友人は、危なくないけど、銃声はたまにする、と言う。まあ人によっていろいろですね・・。
ギャングが密会するダイナー
Oak Parkで待ち合わせて、そこからバスを乗り継いで、レストランに向かった。大昔、ギャングがひっそりと会合をするために使われていたという、何の変哲もないダイナー。座席の区切り方が、アメリカにしてはやけに小さいグリッド状になっていて、昔ながらな雰囲気。
がつがつリブを食う。
住人と一緒だと、こんなローカルなとこに連れてきてもらえるのが嬉しい。
そのあと、ダウンタウンに向かう。高いとこに登りたいなーとリクエストすると、ジョン・ハンコック・センターに行こうということになった。シカゴは3度目になるのに、ダウンタウンにある超高層ビル、ジョン・ハンコック・センターの展望台に上るのは初めてだった。いつも友人と一緒なので、そういうベタなとこは省かれてしまう。
シカゴのいいところは、内陸都市だけれど、海と見紛うほどデカい五大湖に面しているので、人口だけどビーチもあって、水の存在感もけっこう大きい。ちなみに夏でも水は冷たかった・・。
シカゴは「風の街」?
上ったのは夕方くらい。音声ガイドを聞きながら(日本語もあり)、展望台を歩いてまわる。シカゴはwindy cityというニックネームを持ってるのは聞いたことがあるかもしれない。シカゴは風が強いと言われている由来でもある。でもその音声ガイドによると、実際には他の都市と比べて風が強いというデータはないらしい。19世紀に万国博覧会をシカゴに誘致しようとした人々が、ライバルだったニューヨークを蹴落とすためにあることないことを吹聴してまわっていたとして、windy cityと呼ばれるようになった。windyは、口先だけの、という意味がある。ニューヨークは中西部の田舎の新興都市であるシカゴを小馬鹿にしてたってこと。
ちなみに、その音声ガイドでは、「冬になると今見ている景色は一変して白い世界になるので、ぜひ冬にもシカゴを訪れて下さい」、と案内していたのが可笑しかった。わざわざ極寒のシカゴに遊びに来る人もあまりいないと思うけど、友人たちは、冬も外に出なければ雪でのせいで明るくていいものだ、と言う。そう言われればたしかに明るいだろうけど、以前3月に来て、あまりの寒さに喫茶店に駆け込み、足がすくんで外に出られなかった経験があるので、やはり冬のシカゴは惹かれないなぁ・・。今回は10月半ばだったけれど、日中は半袖になるくらい暖かかった。私が来る前の週はもうダウンジャケットをひっぱりだしていたというので、気温差が半端ない・・。
マンハッタンのように密集せずに、なんだか伸び伸びと建っている感じ。ひとつひとつのビルが、これまた人間が作ったと思えないくらい、とてつもなくデカいのも、シカゴがどこまでも平らでだだっぴろい中西部都市なのだということを実感させる。
実は私はあんまり高いところからの景色とか夜景に興味がなくて、昔エンパイアステートビルに上った時のことも、あまり覚えてない。マンハッタンはほんとにぎしぎしに建てられているように見えて、意外に印象に残らなかった。つき合ってくれた女性によると、シカゴの高層ビル街は、建物の見え方を計算して作られているらしい。
そろそろ日没というとき、この赤い球が、ものの3分ほどでグングン地平線に飲み込まれていった。こんなの初めて見たので驚いたー。また大地がイヤんなるくらい、平らなの。私は子供の頃、部屋の窓一面に比叡山が見えるところで育ったので、山の風景が好きだし、東京は山も見えずつまらんと思っているのだけど、ここまで徹底して平らだとむしろ感動的。
昔初めてロンドンに行ったとき、到着間際でかなり高度を下げていた機体の窓から外を眺めて、あれ??ここは軍用基地か??と的はずれなことを思ったのをよく覚えている。早朝で、まだ街灯がついている道路を見て、滑走路のようだと思ったらしい。日本に帰国して真っ先に気づいたのが、日本の道の暗さだった。青白い弱い灯が不気味・・。それに比べてイギリス(少なくともロンドンやグラスゴー)の街灯はオレンジ色の強い光がこうこうと道を照らしている。夜カーテンを閉めずにいても、部屋がやたら明るい。この違いは防犯意識、というか犯罪率の高さによるものだと思うけど、とにかくシカゴの夜景を見て、あのとき基地だと勘違いした感覚がよみがえった。
特にシカゴは、中心部からグリッド状に大きな道が走っていて、ほんとにどこまでもどこまでも伸びている。なので、バスに乗るときは割とわかりやすい。例えば、泊まっていた友人宅からちょっと歩くとぶつかる大きな通りでバスに乗り、そのままひたすらまっすぐ行けば、その途中にいろんなエリアを通って、ダウンタウンに着く。
その大きくて長い通りが、平坦で広大な土地にぎゅーんと伸びていて、あまりに人工的に見えるせいか、、こうして上から見ると、どこかほかの惑星にいるような気分になる。シカゴは裾野が広いし、なんといってもこの単調でぺたんこの土地のせいで、ドデカイ宇宙船の上に築かれたサイバー都市、みたいな孤高でぽつねんとした雰囲気さえある。まあ普通の夜景、なのかもしれないけど、やはり日本人としては、アメリカのだだっ広さを目の当たりにして、ちょっと感動的だった。LAも平らではないけどだだっ広いので、似てるかと思いきや、シカゴのようにひたすら真っ直ぐに走る大きな道はあまりないので、やはりサイバー度はシカゴの勝ち、です。
シカゴの「地球の歩き方」
シカゴに行ったことがあるという友人はあまりいないのをみても分かるとおり、日本人にとって人気のある観光都市とはいえないだろう。多分一番多いのは、駐在員とその人たちを相手に商売をしている日本人というところかしら。地球の歩き方で紹介されているのは、せいぜいダウンタウンの高層ビル街の建築物と、フランク・ロイド・ライト、くらいのもの。地球の歩き方のような最も一般的なガイドブックは、当然、最大公約数の読者を想定して作られているので、ピンポイントで知りたい情報が載っていることはあまりない。それでも、それなりにトレンドに敏感な特集を組んでいたりするもので、驚くことがある。例えば、サンフランシスコのミッション地区は、割と広範囲な地図と店舗紹介が載っていて、意外にやるなあと思ったりしたもの。
それに比べてシカゴのエリア紹介と地図は、びっくりするくらいスタンダードの域を超えていない。もう何十年も同じ内容なのではと思えるほど。実は買ったことはなくて、毎度地図をちょこっとコピーして持っていくだけなのだけど、使えたためしがない。私は3度もシカゴに行ってるのに、いまいち地理を把握できてないのは、自分の行動範囲を示す地図をまったく見ていなかったことによるものと思われる。今回はさすがに一人でバスに乗ったり、なんといってもアイフォンで地図を見ていたので、ちょっとは改善したけれど・・。いつまでたっても地理がわからん!と言うと、シカゴの人は、シカゴは広いからな、と言う。人に連れられて動いていると、自分がどこにいるのか把握できないのも原因だけど、とにかく、紙でまともな地図を見ていなかったのが大きい。まあシカゴに”ヒップ”なエリアがあるかといえば、まああるけど・・くらいの感じでしかないとはいえ、あまりにも省略されすぎだ。
帰ってきてから、改めて歩き方を見ていたら、面白い箇所を見つけた。ずばり、「乗ってもいい&乗ってはいけないバスのライン」。何番のどこからどこあたりまでは乗るな、と具体的に指示されている。こんなの初めて見たので面白かった。たしかに、シカゴはダウンタウンのループ内の人通りの多い場所、オークパークのような平和な離れ小島、一部のヤッピーエリアなどを除く大部分は、日本から来た旅行者だとちょっと緊張する場所ばかりかもしれない。というか、旅行で来てそれなりのホテルに泊まっていれば行くような機会もないのだろうけど・・。私は一人でバスを乗り回してたけど、カリフォルニアよりも、都会的な人々の硬さを少し感じた。友人は、バスで危ない目にあったり、事件を目撃したことは一度もないと言ってたな。でも日本人の目から見れば、車内の雰囲気はちょっと荒々しい。しかし乗ってはいけないバス、ってw
ちなみに、同じく地球の歩き方でボストン中心部の地図を見ていたら、川から南のエリアがグレー一色になっていて、行ってはいけません、と書かれていた。わかりやすいw よっぽどガラリと雰囲気が変るんだろうなぁ。そんなこと書かれてると行ってみたくなってしまう。